再塗装も終わったし、あとはタンクを車体に載せれば、おおむね終了。
新設したフューエルラインをつないで、エンジンに火が入ったのも確認した。
あとはCDIが完成すれば、前のようにカリカリっと走ってくれるでしょう。
と、思いきや。
またも床がガソリン臭い。
まさかと思って、下を覗き込んだら、塗膜がブクブクと膨れ上がっているじゃありませんか…ハイ、鈑金に失敗したようです。
もう一度、ガソリンを抜き、着火したらコワイので水洗いして、もう一度「鈑金ハンダ」に挑戦するも、母材(ガソリンタンク)とうまくくっつかない。
何百というタンクを直した知人からは「ちゃんと母材を脱脂してサビも落とせば簡単にくっつく」と言われたが、まるでうまくいかない。
フラックスを入れてもダメ。
もう、自分にはハンダの技術がない、とあきらめ、別の手段に。
まずは、ガソリンコックを外し、漏れていたところをテープでガッチリ固定。
そしたら、ガソリンを完全に除去、もう一度、洗剤などで洗ったら、内部を脱脂。
アセトンが良いらしいけど、とにかくそんな感じで中をピカピカに。
念のため、ドライヤーで乾燥させる。
そして登場したのが、コレ。
FRP。
コイツをガソリンタンクのなかにブチ込んでやる。
多少強引かもしれないが、樹脂でタンク内部をコーティングして、さらにピンホールをふさいでしまうという荒業だ。
でも、ほら、オフ車なんかはFRPタンクもあるしね。
割と知られたテクニックみたい。
気合十分で挑むのはいいとして、硬化剤の分量は間違えないように。
ちゃんと計測した方がいいというか、計測しないとダメ。
ただ、100対1とかそんな感じなので、硬化剤の重さをはかるのは不可能に近い。
硬化剤の方には「目盛り」がついているので、間違えることは無いと思うけど…
微妙に少ないよりは、微妙に多い方がいい(ただし、あまり入れ過ぎると発熱する)。
硬化剤を入れたら、右回りに30秒、左回りに30秒はかき混ぜる。
しかも、納豆を混ぜるように、力強く、手早く。
混ぜベラでやると、なお良いです。
そしたら、ガソリンタンクの中に入れて、入り口をテープでふたしたら、シェイカーのように振る。
勢いあまってタンクを吹っ飛ばしたり、中のFRPが漏れないように要注意。
ここで、力強く言いたいこと。
とにかく漏れに注意。
服に着くと大変だし、肌や目につくと、アレルギー反応を起こす人がいる。普段、ガソリンなどの油脂まみれになっても平気だから大丈夫、という人もいるだろうけど、FRP、エポキシ樹脂は要注意。
このアレルギー、すぐにじゃなくて、数日、数か月後に症状が出る時もある。
そして、いったん、このアレルギーが出ると、直に触っただけでなく、揮発した成分でもアウト。
実際、仕事で樹脂を扱う人がアレルギーで転職を余儀なくされた。
なので、ちゃんとゴム手袋をしたり、出来れば保護メガネも。
昔、樹脂というか剥離剤が目に入って、病院へ行ったこともあるので。
ある程度、グルグル回したら、FRPは捨てろ。
「回したらないのではないか?」と不安になるかもしれないけど、大丈夫、5分10分も派手に回していたら、もうやっても無駄。
あとは、燃料コックの取付穴から、余分なFRPを棄ててしまうこと。
チャプチャプ音がしたら、まだ残っている。
「少しくらいいいじゃない」と思ったら、大間違い。
「9割がた、戻ってきた」というくらいが正解。
それを「もう少し穴の近くで固めてやろう」などと思ってはいけない。
実はワタクシがそうだったのだが、非常にマズいことになった。
結構な量のFRPがタンクの底にたまったまま硬化したのだ。
これでサビからは解放されるかもしれないが、容量が少なくなって、しかも重量増。
過ぎたるは猶及ばざるが如し、というやつです。
24時間で硬化するというけど、数日間待機。
コワイので灯油を入れて様子をみる。
よし、漏れてない。
そして、さらに翌日はガソリンで検査。
これまた漏れている様子はない。
大丈夫みたいね。
次は、溶接やら何やらではがれた塗装を修繕。
全体を塗るよりも大変難しい作業。