ブログ版 空冷Zとの戦い

Kawasaki Z1Rに関するブログ?

放射能汚染の脅威よりも、マスコミの脅威

本当は、こないだ発売されたばかりの空冷Zのムック本が、どうしようもなく内容が希薄で、こんな薄っぺらい内容の書籍をDVDつけたからといって、1800円も取るのか!という言いがかりのような恨みつらみを書いて、ついでに「もっと気合入れたムックをつくれ!」と、ネコパブリッシングの編集部にでも送りつけてやろうかと思いましたが、ある人に半額で売れたのでよしとします(笑)。

そのかわり、別のネタで行ってみようと思います。
これから書く文章は、ちょっとトゲのある内容になるだろうし、一部の方の心の内側をえぐるような発言と取られるかもしれません。
別にレスポンスも求めておりませんが、批判や議論は大いにコメント頂いても構いません。

書こうと思ったきっかけは、以下ふたつの報道。

1.福岡県で開店予定だった「ふくしま応援ショップ」が出店を取りやめることになったこと。
2.中部大の武田邦彦教授の「東北の野菜や牛肉は健康を害するから食べるな」という発言。

もうすでにご存じの方も多いと思いますけど、両方とも福島原発放射能汚染が問題視されているわけです。
ヤフーニュースでも、反響大きいネタでした。

1.は、開催前、運営側にメールが寄せられたのだそうです。
新聞にメールをプリントアウトしたものが写真で掲載されていました。
「ふざけるな!九州に福島の物を持ち込むな!将来病気になったら、あんたらは責任がもてるの(原文ママ
全ての食品を検査したうえでやってるのか?安全と同情は別だろ!」
他にも「福島からのトラックは放射能をばらまく」というメールもあったとのことです。
運営側によれば、商品は震災前の収穫物で作った梅干しやラーメンなどの加工品。それでもさらに放射線量を測って販売する計画だった」という (朝日新聞より抜粋)。

2.は、武田教授がTV番組(たかじんのそこまで言って委員会)に出演した際、子供の質問に答えた内容をピックアップしたもので「今(東北で農産物を)生産するのは間違い」「農家は全力で救う必要があるが、われわれが(食べて)被ばくすることじゃなく、1年間農家が休業しても大丈夫なようにすること」などと発言した。他の出演者から、発言を取り消すよう求められたが、「取り消しません」と応じた(時事通信より抜粋)。


ヤフーニュースのコメント欄みると、そりゃあまあ大騒ぎになっていました。
コメントに対するコメント(批判)もあったり、それにシニカル(皮肉めいた)なコメントつける人もいましたけど。
コメントの内容が正しいかどうかは別として、これは、もうしょうがない。
食べログなどで「この店のラーメンはまずい!ホントに店主は料理人なんだろか」「あんたの舌の方がどうかしてる、長年通っているが、客が途切れたことはない」と言い合っているようなもので。
ようするに、これが一般大衆の意見なわけですよ。

1については、福岡県人の度量のせまさを指摘するコメントもあったけど、これは筋違いというものです。
そもそも、福岡県人が送ったメールかどうかなんて報道されていないですし、我々だって「バイク乗り」とひと括りにされると心外だ、と思うのと同じです。

安全か危険か分からないものが持ち込まれることに対して、NOというのは当然です。
しかし、運営側は、安全であることと、その根拠を明示しております。

ようするに、国の暫定基準を上回るものを流通させるわけじゃない、というわけです。
そのうえで、出店するんだからいいじゃないか、と。
後は、買う方が考えればいいじゃないか、と。

それはそうなんだけど、まずはそれが消費者に浸透しないとダメですよね。
ていうか、マスコミも「危ない」「怖い」ばかりが先行してるから、こういうことになるんじゃないのかね。
「福島のトラックは放射能をばらまく」ことが、本当にあり得るのかどうか。
こういうことを、きちんと説明せず、面白おかしくセンセーショナルな番組や誌面を作ってきたメディアの影響なんだろうねえ。
普通の人は、堅苦しいニュースよりも、ワイドショーの方が頭に入りやすいし。

何が安全か、危険か。
そんなの、いまの基準では分からないのです。
水は100度で沸騰するけど、放射能がどれくらいでどういう影響が出るかなんて分からない。
なので、もう個人で判断するしかない。
冷蔵庫の食べ物、これが大丈夫かどうかニオイをかいで判断するのと同じくらい、アテにならないわけです。


で、2の武田教授。
東北、というひとつの括りで発言することがあるんだろうか。
たとえば、東北の農産物は危ない、と発言したというが、よもや原発の数メートル付近で植えた野菜を「安全」という人はいないだろう。

だが、東北地方・・・青森県日本海側で収穫した米やにんにくと、茨城県の人ごめんなさい、茨城県の北茨城あたりの農産物、どっちを食べますか?と訊かれたら、前者を選択する人が多いと思う。
こんなに広い東北6県を、我々なぞより知識のある専門職の人間が、そんなアバウトな区分けをして「安全」「危険」を判断しているのだろうか、と非常に疑わしく思いました。

ホント性格が悪いですね、でもしょうがない、疑うことが商売だったわけですから。

で、当の武田邦彦教授の発言の真意を確かめるべく、ご本人のブログを探したら、こんなものがありました。

テレビでの発言の追補(1) 「東北」という括りについて


これ、聴ける人は、mp3のファイルもDLして聴いてみて下さい。

リンク読むのも面倒な人のために書きますと、武田教授は「もちろん東北の中には青森や秋田などの汚染された地域も含まれている。だから、大きな行政区域で分けるのではなく、市町村もしくは市町村内の地域で区別するとか、もしくは場所で分けるのではなく、この商品(農産物)は何ベクレル以下、という表示にしなければならない」という趣旨のコメントを残しています。
東北と言う括りについても、ちゃんと言及しています(最初から言えよ、と思いたくもなりますが)。

疑ってかかると真意が見えるでしょう。

このニュースを農産物とするならば、「報道の仕方」という汚染物質を除去してやることで、だいぶ、スッキリしますね。

マスコミのこと、たびたび批判していますけど、しょうがない。
自分が、そういう立場で取材して、記事をつくって、世の中に発表してきたのだから。
自分自身は偏った記事を書いたとは思わなくても、記者だって万能じゃない。
誠実に取材して、裏付けをとったつもりでも、実は真実とはかけ離れることもあるし、おもしろおかしく煽るような記事を書けばいいと思っているヤツでも、真実に辿りつくこともありますしね。