ブログ版 空冷Zとの戦い

Kawasaki Z1Rに関するブログ?

ダークナイト

バットマンシリーズの最新作です。
バットマン、小さい頃、絵本で読んだ時には、アメリカのヒーローは格好悪いな、と思ってた。
バットマンはまだしも、半袖、ブルマー、仮面舞踏会のようなアイマスクをしたロビンは、変態以外の何者でもなかった。
日本には、古来より黄金バット、ハリマオ、仮面ライダーといったヒーローがいたしね。

ところが、宇宙刑事ギャバンのデザインを踏襲したロボコップがヒットして、大人の鑑賞に耐え得る被りモノ系ヒーロー映画のジャンルが確立された直後、プリンスの曲と共にバットマンが現れた。

ホラー映画の怪人のように神出鬼没、圧倒的な強さ、しかしバットマンの正体である大富豪ブルース・ウェインの心には、いつも苦悩が横たわり、またそれが格好よく思えるわけだ。

その後、主演俳優、敵役にビッグネームを揃えながら、次々と続編が作られてゆく。

しかし、舞台となるゴッサムCITYは、ムーランルージュ的などこまでいっても、お伽話のような世界で、ジョーカー以下数々の犯罪者たちも、ユーモラスでコミカルである。

が、今作のバットマンは違う。レビューも何も見ないで観たんだけど、前作、バットマンビギンズの続編なのね。
渡辺謙が出た奴。

ゴッサムCITYはアメリカの一都市として描かれ、ファンタジーな要素は極力省かれている。

そこに現れた、ジョーカー。白塗りの化粧、不気味な笑顔、派手なスーツといったジョーカーとしての記号は揃えているが、単に犯罪者としてくくれないほど、狂気に満ちた残虐性を持つ。
ジョーカーはたえず笑っているが、これまでの悪役が持っていた笑いや、愚かしい隙は一切ない。
過剰な描写がないだけで、羊たちの沈黙レクター博士、SAWシリーズのジグソウと同じく、口の中が苦くなるような、頭脳明晰な異常者だ。

別にバットマンがそれを上回る程強ければいいんじゃないの?
という隙はない。

仮面ライダーに例えれば、ショッカーが立花のおやっさんバイク屋あるいはその家族を襲い、小学校に爆弾を仕掛け、仮面ライダーをおびき出し、かつライダーさえ現れなければ、こうはならなかった、と市民に思わせる。

少し考えれば、まして悪の組織ならすぐにも思い付かなければならないんだけど、ヒーローものでそんなことやったら、話が成り立たないからだ。


この話を作りたくて、前作があったのかとも思える。

新しいバットマンというより、もしもサスペンスホラーの世界にバットマンが現れたら、という感じの映画。

ブラット・ピットのセブンのような、苦々しさが残る映画です。

カタルシスを望む方には、あまりオススメできません(笑)。