ブログ版 空冷Zとの戦い

Kawasaki Z1Rに関するブログ?

rock be with you

今回のカタストロフィで危機にさらされた、今回のセミナー。

全員が力を合わせ、懸命に危機を乗り切ろうとした。受講生に過ぎなかった者が、それぞれ役割を与えられ、軍隊のような厳しい規律のもと、行動した。
自分の頭を使い、目的のために何を誰がどうやって実行するのか。

たかが食事の配膳、水回りの使い方でガッチリ説教をされる者もいた。
不平不満を口にする連中も現れたがトコトン話し合った。

チームの動きは日をおうごとに良くなり、これからという時に、辛い現実が我々を襲った。就職先の会社のほとんどが壊滅、彼らの多くが行き場を失ったのだ。

大災厄は、人命や貴重な個人資産だけではなく、未来ある若者の夢を無慈悲に奪い去った。

ここまでたどり着くまで、どれだけ辛い思いをしてきただろう。
小刻みに体を震わせる若者にかける言葉は皆無だった。手を握り、肩を抱いてやるしか出来なかった。

メンバーの多数が、祖国の用意した手続きに沿って施設を発った。

彼らを送り出す際、手書きの修了証を渡した。不器用ながらも一生懸命、群をまとめあげようとしていたリーダーの修了証を読み上げるまで、数分を要した。
一番辛い思いをしている連中を前に、涙の一滴でも流すのは、大罪だと言い聞かせ、16名ひとりひとりに証書を渡した。

ある時
「先生は、どんな音楽が好きですか?」
と聞かれ、ロックと答えたら、誰も知らなかった。

既成概念の打破、創造、自由な精神がロックなのだ。だが、彼らは自由の使い方も分からない。
本能のまま行動するのは、獣と同じだ。
我欲のために弱き者を傷つけるのは、独裁者と同じだ。

人間の自由には、行動に対する責任と他者への優しさ、愛情がなければならない。
自由によって、誰かを傷つけてはならない。
それが分かったら、お前らはその瞬間からロッカーだ。

これからの時代は、お前らのものだよ。
だから、ロックで生きろよ!
そして、自分の道を自分で切り開け。


そんなことを教えたこともあった(you tube でkissを見せた時には、相当面食らっていたが)。

バスの窓から、彼らは泣きながら手をふった。歯を食いしばって、崩れ落ちそうになるのを必死で耐えた。

すると、彼らの何名かが拳をつき出している。拳の親指と人差し指と小指はしっかりと伸びていた。

オレも拳を突き上げた。
見送る連中も泣きながら、応えた。
やがて、バスの中の全員が、ハンドサインを作った。

彼らは、ロッカーになって旅立った。
歩き始めたばかりのロッカーに幸あれ。