選ばれた選手は「強化指定選手」となり、夏に行われる「地方大会(東北6県の場合、東北総体)」に参戦します。
スポーツクライミングの場合、日本全国から全種目、全選手が集まると規模が大き過ぎて日程内に競技を終了できないため、各地方ごとの代表を選抜、そこに残った選手やチームが「本戦」である国体に駒を進めるわけです。
通常、国体種目が15m以上の長距離を登る「リード競技」と4m前後の低い壁で登る「ボルダリング競技」であるため、2種目での成績によって選手を選抜します。
が、仙台市内のリード壁施設に破損個所が見つかり、修理が終わるまで使用できなかったことから、今年度はボルダリング競技と、前日、民間のクライミングジム・コーティで開催されたリード競技「コーティ・カップ」での成績を参考記録として選手を選抜することになりました。
【5月21日】コーティ・カップ
指定された色のホールドを使って登るわけですが、予選はフラッシュ(他選手の競技を見ることが出来る。後から登った選手の方が有利にならないよう、運営側がデモンストレーションを行うか、近年では映像を公開)。
決勝はオンサイト方式(選手は競技中隔離され、他の選手が競技している様子をみることが出来ない。理論上は競技順に関係なくイコールコンディションになるが、観客のどよめきや、他の選手が呼び出される時間などで前の選手が何処まで進んだか、推察することはできるらしい)。
今回の競技順は、競技申し込み時の「これまで登ったことのある難易度」を申告、高い難易度を完登したことのある選手からスタートしましたが、正直に申告しているか疑いのある選手もいて、かつ予選は1本だけでしたので、出場選手からは「不公平だ」という意見もありました。
予選が2本であれば、競技順を逆にするなどして、イコールコンディションを用意できるのですが…
「代表選手に選ばれる」ことを意識している選手にとっては大きな問題になるわけですから、そういった選手が集まる「オープン・クラス」のカテゴリーは予選・決勝ともに「オンサイト」方式にしてもよかったのかもしれません。
が、蓋を開けてみれば、成年男女、少年男女ともに下馬評通りの成績になったようです。
対象となるのが、13歳~19歳の男女。
10名まで推薦できますが、実際、競技に参加登録出来るのは、上位4名までのようです。
こちらも、ほぼ順当な順位におさまった気がしますが、各競技で上位を狙える選手には、別の公式戦で結果を出してもらい、自力でシード権を勝ち取り、県の推薦枠を拡げて欲しいというのが本音です。
【5月22日】仙台カップ
仙台カップは、例年と変わらず開催されました。
ルールについても変更なし、フラッシングでありながらも、トライ回数が考慮される「コンテスト方式」。
制限時間内に、より少ない回数で完登した課題数を競います。
課題は全部で10課題。
ジュニアは10課題すべてを1回で登る選手がいたりと、将来期待が持てる選手が現れました。
ここでも、注目を集めたのが宮城県代表選手を選抜する「オープン・クラス」。
近年、ボルダリングジムが各地でオープンしたせいか、選手層も厚くなり、競技をはじめて間もない選手でも、ベテラン勢に迫る勢いでした。
特に若手の台頭が顕著。
上位5名が同じ完登数だったのですが、接戦を制したのが、中学2年生の男子。
あとで勝因について質問したところ、課題の難易度、競技人数、競技時間、すべてを考慮して、より少ない回数で完登することに徹底したようです。
2位の高校生男子の競技内容も素晴らしく、1位2位の彼らはタッグを組み、6月に行われる国体方式のボルダリング競技に参戦します。
宮城県の1位、2位という看板を背負っていくわけですから、胸を張って挑んで欲しいと思います。