ブログ版 空冷Zとの戦い

Kawasaki Z1Rに関するブログ?

ロボット②

ところが・・・


待てど暮らせど、現実社会にロボットは出てきません。
ホンダが造ったロボットや、研究所で造られたパワーアシストつきの「強化服」は発表されておりますが、運転席に座って「アムロ、いきます!」といったロボットはちっとも登場しません。


工学的・技術的ブレイクスルーの問題もあるのでしょう。
何せ、車のように乗り込んで、人間と同じような動きをするロボットを造ろうというのですから。
試作品がいくつか登場してからでないと難しいハズです。
残念ながら、そういう試作品も「これは・・・」と思えるものが、出てきていませんね。


が、この頃は技術的なことよりも、別の問題があるのではないか、と考えるようになりました。

一時期、ウルトラマンが本当にいたら、とかガンダムが本当にあったら、ということを物理学や科学の立場で検証する本が流行り、ガンダムは歩く度に数メートルも上下するため、操縦者はものすごい勢いでシェイクされるから、操縦者は大変だというように書いてありました。

それもそうなんですが、マジンガーガンダムのようなロボットを造ったとして、どう運用するか。
多くのSF作品に登場するロボットは、いわゆる軍用兵器として造られております。
ということは、従来の戦車や戦闘機の代替、もしくは、独自の思想で生まれた兵器です。

兵器の開発思想、運用思想にそれほど詳しくはありませんが、そんなワタクシでも「現在の陸軍、空軍、海軍いずれかにロボット兵器を編入させよう」という気になりません。

その理由を説明する前に、ちょっと脱線させてください。
20年以上前からワタクシは「ロボットを登場させるSF作品を書く」ことを目標にしております。
ワタクシの作品に登場する全高5mそこそこのロボットたちは、兵器としてだけではなく、ロボットを使ったモータースポーツのマシンとしても使われます。
作中では、ロボット同士が殴り合うなどの格闘を演じるわけですが、20年以上もリライトおよびリファインを続けるうちに疑問が生じてきました。

車やオートバイよりも重い乗り物がぶつかり合って、ただで済むのだろうか。

これは、自分で車やバイクを運転するようになって、沸いてきた問いかけです。


でも、戦車はあんなに丈夫じゃないか。と思い直してみましたが、戦車は防弾・防爆のために装甲を厚くしているのであり、格闘戦を想定していません。
とにかく、丈夫に造ればいいのではないか、と考えてみました。
炭素繊維とチタン合金を板状にして、ラジアルに重ね合わせれば、軽くて丈夫な外装が出来そうじゃないか。

でも、骨組みや関節はどうなるのか。
ご存知の通り、人間の関節は骨と筋肉によって動きますが、これを機械で再現しようとすると、とてつもない複雑な機構になるはずです。おそらく、モーターとシリンダー、ユニバーサルジョイントなどを組み合わせて再現するのでしょう。そんな精巧で複雑な骨格で、殴る、蹴るなどのことができるものでしょうか。

例えば、右手で殴るとしましょう。
両足を肩幅ぐらいに開き、左足はやや前に出します。
手をしっかりと握り、右拳を胸の前に構えます。目標を目でとらえたまま、上半身を右に捻るようにして、拳を後ろに引きます。捻った腰を元に戻すと同時に拳を前に出します。腕の関節が伸びきり、拳が目標に到達する頃には上半身はさっきと逆にひねられ、左肩が後ろになっているはずです。
めいっぱい突き出された拳は、出した時と同じような速度で元に戻ります。
これが、いわゆる「腰の入った、パワー全開のストレートパンチ」です。

単に拳で目標を破壊するだけなのに、こんなにあちこちの関節やパーツが影響しているのでは、メンテナンスも相当大変なはずです。どこかの稼動部分が故障しただけで、たちまち動かなくなりそうです。
考えれば考えるほど、ロボットに殴らせるということが、不可能に思えてきます。

それなら、関節などの可動部を思い切り簡素化して、たとえば、バイクのフロントフォークのようなシステムで、ボーリング工事のパイルバンカーのように破壊力を持った腕にしてしまえばいいのかもしれません。

でも、本当にそんな腕が必要でしょうか?
それだったら、腕なんかつけないで対空自走砲のような銃器を機体の両側につければいいわけで、それなら従来の戦車と運用は一緒になるので、ロボットは不要となってしまいます。


                続く