ブログ版 空冷Zとの戦い

Kawasaki Z1Rに関するブログ?

ロボット③

個人的には「殴れないなら、もうロボットは要らない」のですが、せっかくですから、ロボットの特徴でもある脚について考察したいと思います。
人型兵器の有為性を訴える設定を読みますと、タイヤやキャタピラ以上の走破性を持っている云々ということが謳われております。

本当にそうでしょうか?
ロボットの脚について、SFファンならよく知っているこのようなエピソードがあります。
機動戦士ガンダム」のクライマックスにおいて、ジオン公国のエースパイロット、赤い彗星ことシャア・アズナブルが未完成のモビルスーツジオングに搭乗します。ジオングはちょっと大き目のモビルスーツなのですが、脚がついておらず、お雛様のような下半身には、推進用のスラスターがたくさんついています。
シャア大佐は整備兵に「脚がない」とちょっと不満げに言います。すると、整備兵は「脚なんて飾りであり、そんなことが分からないのは、偉いさん(おそらく前線に出ない指揮官を揶揄している)だけだ」と、反骨精神あふれる、スポンサーもビックリな発言をします。

最後になって「あんなものは飾りだ」というセリフを聞いて、当時小学生だったワタクシは、まるで「今までの話は全部主人公が見ていた夢でした。チャンチャンh」という夢オチ同様、裏切られた気分でした。

確かに、ジオングに脚はありませんが、アムロガンダムを確実に追い詰めていきます。最後にはガンダム優勢のなかで相討ちになるのですが、脚がないことの劣勢はありませんでした。
それは無重力の宇宙空間だったからかもしれませんが、地球や重力下でも脚は必要でしょうか。

地上においては、脚はおそらくもっぱら移動手段として使われるでしょう。
しかし、脚を使っての移動は、あまり合理的とはいえません。冒頭でも触れたように、歩くことで機体は上下左右に大きく揺れますから、操縦者は不快な思いをするかもしれません。
不快だけで済めばいいですが、ヘルニアや鞭打ちなどの症状を併発しそうです。

装甲騎兵ボトムズのアーマード・トルーパー(以下AT)のように、足の裏や周辺に走行用の車輪をつけるというアイディアもありますが、実際に使用できるかどうかが疑問です。標準的なATは全高4mそこそこで重量が6トン~7トン、最高出力が160~250馬力。これが、ローラーの出力なのか、機体そのもののパワーなのか分かりませんが、質量と馬力の数値は、パリダカのカミオンクラスに出場した日野レンジャーと同じくらいです。ATの足の面積は大きく見積もっても事務机2つ分程度です。そこに収まるホイルの直径は、大きく見積もっても、原付スクーターと同じくらいでしょう。
そんな小さな駆動輪で(ちなみにATのホイルはゴムではありません)、走ることが出来るのでしょうか。トルクは中型観光バスくらい、最高時速は80km/h~100km/hも出るとのことですが…その場で空転しそうな気がします。
本気で走らせるなら、やはり設置面積が大きい大口径の駆動輪が必要でしょう。

自走について解決したとしても、問題は山積みです。
立ったまま走るということの難しさは、ローラーブレードやスキー、スノボ、スケート、サーフィン、スケボーをやったことがある人ならお分かりだと思います。もし、機械にこれをやらせるのだとすれば、相当すごい姿勢制御装置が必要となります。操縦者も「機体を転倒させない」ことに集中しなければならず、戦闘どころではないでしょう。そのうえ、高さがあるものだから、敵からは格好の標的となります。
それなら、全高を抑えてしまえばいいということになりますが、それでは戦車などの戦闘走行車輌と同じになるわけですから、それこそ「脚なんて飾りです」と言われてしまいます。

格闘のために脚は必要だ、という意見もあるでしょう。
しかし、腕についてお話ししたように、もはやこのような精巧な機械に格闘には不向きです。
おそらく、一度蹴ってしまったら、どこか不具合が生じて走行不可能となるでしょう。

   続く