ブログ版 空冷Zとの戦い

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安全登山指導者養成講習会

こないだの「山籠り」は、宮城県山岳連盟主催の、安全登山指導者養成講習を受講するためのものでした。
1泊2日で、初日が座学研修、2日目が実技です。

山での事故やトラブルを回避するだけではなく、万が一、そういう状況になった時に助かるための知識を身につけたり、または他者を助けるためのノウハウを学ぶのが、今回の講習会でした。

「山登り、するんでしたっけ?」
と、聞かれれば、実は限りなく「NO」に近いと思います。
「登ったことがある」「誘われれば行く」という程度です。

では、なぜ、参加したのかというと「クライミング」や「オートバイツーリング」を趣味としているのが大きいです。
たとえば、フリークライミングボルダリング
ジムで登っているだけならいいのですが、屋外の岩や岩壁を登るとなれば、だいたいが山の中へ入っていくことになります。当然ながら、登山の装備と技術、知識が必要になります。

オートバイも同じですね。
サーキット走行や市街地だけしか走らないと決めているライダーは別ですが、多くの人々はツーリングを楽しんでいると思います。ツーリングには、街乗りには不要だった雨具やちょっとした工具といったものが必要になるでしょうし、テントやシュラフを積んでキャンプとなれば、バイクの運転だけではなく、別の技術が必要になるでしょう?
最近は道路も整備されているので、山の奥や頂上付近にもバイクで行くことが出来るようになっています。
バイクを降りて周辺を散策する人もいるでしょうし、不慮の事故でそこで一夜を明かさなければならない場合があるかもしれません。

純粋に登山を楽しもうとする方々からすると、動機は不純かもしれませんが、宮城県山岳連盟の方々は寛容な方々ばかりでしたので、やさしく迎えて頂きました(笑)。

■講習内容■
とりあえず、パパーっと書いていきます。

【山岳地域における気象変化の特徴】
まず、最初の研修は仙台管区気象台の予報課からです。
ワタクシは理科の授業で挫折した記憶があるので、天気図を見てもチンプンカンプンでしたから、のっけから挫折感を味わいました(笑)。授業のように「はい、Takeda君、この場合、どっちから天気が崩れると思いますか?」とか指されたら、どうしようかと…

ちなみに、隣の席では、寺島進がもう少し歳をとったらこうなるんだろうなあ、といったオジサンがかったるそうにしていて、登山の世界にもこういう人がいるんだ、と驚きました(笑)。

宮城県における山岳遭難の実態】
次は実際に遭難者を捜索している現役の警察官からお話が。
気象庁の方もそうでしたが、事故の状況を聞いていると、登山が趣味で何度も山へ行っている人が、たまたま運悪く…という事故は非常に少ないようです。
事故の大半が「山菜採り」「キノコ採り」のために山へ入って道に迷ったという事例でした。
あとは、天気が悪いのに山へ入ってしまったというのも多いようです。
雨の日に山へ入るなとは言わないが、この後、どういう風に天気が移行するのかを予測して、行動計画をアレンジしてちょうだい、というお話でした。
これは、ツーリングライダーも同じですね。

【読図とコンパスの使い方】
今はGPS端末も使いやすくなりましたけど、地図は読めた方がいいですね。
進むべき方向を見るだけではなく、その先に何があるのかが分かるといいですよね。
結構、難しそうな顔の参加者も。

【登山用具の選び方】
我らが楽団四季のVoから、今回は靴の選び方について。
思えば、20年前から、我々は「どんなアウトドア・ギア」が優秀か、でよく議論しておりました。
彼の手には、その頃から使っているグリップスワニーが。ワタクシもバイク用で初めて購入したのが、G-2Bというモデルでしたが、ぶっ壊れてしまって、誰かにあげてしまいました。
今はスワニーのパチモンみたいな革手袋ですが、かなりハードな場面でも活躍してくれてます。
で、登山靴ですが、ゴアの防水性とか素材の劣化について、熱く語ってくれたJ。
特に登山の時には何故登山靴が必要なのか、参加者は随分理解してくれたんじゃないかと思います。
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【災害時における登山技術の活用法】
ここでは、ロープワークを集中的に学びました。
フリークライマーにはお馴染みのエイトノットを基本に、簡易ハーネスの作り方、カラビナとロープを組み合わせた使い方などを勉強しましたが、普段、山に登ってもロープに縁がないとなかなか難しいようです。

初日はここまで。
夕飯を食べて、風呂入って寝るだけ、と思いきや…
「情報交換会をやるから!」と講師室に参加者全員が呼び出されました。
ようするに、自己紹介を兼ねたプチ宴会のようなものです。
初心者の若者から40年以上のベテランまでが集まりましたからね。
ワタクシの隣に座っていた寺島進は、いつも単独行で山へ入っている超ベテラン。
他の参加者から「組長」と呼ばれてましたけど…(笑)。
でも、隣の席、同じ部屋、同じグループということもあり、かなり世話になりました。

ちなみに、クライミング経験者はワタクシだけのようで、質問攻めにあったあげく
塩釜出身というだけで、素性もバレてしまいました。おそるべしです。悪いことは出来ません(笑)。
事務局長の「三種混合ワクチン」を飲まされ、ヘベレケになっただけではなく、夜中に腹を壊して、トイレに何度も起きたのは、内緒の話です。

翌日、残念ながら山は雨。
「雨の中で実技をやるから、技術が身につくのだ!」と脅されましたが、40数名の参加者が悪天候の中、訓練は出来なさそうなので、実技研修は体育館で行いました。
ちなみに、晴れていたら、副会長と先発隊として山に入り、岩場の支点確保とかロープを渡す役をたまわっておりました。
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土曜日に勉強したロープワークの実践です。
階段を急な崖に見立てて、懸垂下降(特殊部隊がロープで降下する、アレです)の練習。
慣れていないと、ロープに身体を預けるのは怖いものです。
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こちらでは、何をしているかというと…
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空中懸垂と、確保の練習ですね。
たとえば、崖から登る人をどうやって確保して引き上げるか、下から登る人は、どういうことを注意して登るか、そして降りるにはどうするか、などの一連の動作を体験してもらいます。


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ワタクシも試してみましたが、スリングで作った簡易ハーネスでの登り降りは結構大変です。
ライミング用品も全て持っていったので、ひそかにATC(確保器)を使っての懸垂下降、空中懸垂も試みました。昼休みも独りで練習しようと思っていたら、組長がエイト環下降を教えてくれたり。

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みなさん、それぞれ熱心に取り組んでおられました。
アウトドア関連、登山関連の本には大なり小なりロープワークについて書いてありますが、実際に体験してみるのとでは、えらい違いだと思います。

ロープワークが終わってからは、再度コンパスと読図を勉強。
現在位置の出し方、手順が理解できない方もいるようなので、声を出しながら何度も練習。
一度、身に着いてしまえば「なんだ」ということになるんですが、そこまでたどり着くまでが大変なのです。
けど、みなさん、これまでいくつもの困難を乗り越えて山頂に到達した方ばかりですので、粘り強く何度もトライしてらっしゃいました。

という感じで全日程を終了。
雨天で山には登れませんでしたが、2日目の実技は結構大変だったと思います。
年に1回実施されるようですが、個人的には4シーズンに分けて、4~5回くらいを全日程にして実施すれば、内容の濃く、より技術が高められるのではないかと思いました。