ブログ版 空冷Zとの戦い

Kawasaki Z1Rに関するブログ?

少しでも救えるように・・・

昔、近所に住んでいた同い年の友人に弟がいた。
友人はお調子者だったが、弟はおとなしく、でもしっかりしていた。
後で母に聞いて知ったのだが、中学に入ってから、壮絶なイジメにあっていたのだそうだ。

おかげで中学校もやっと卒業したような感じで、進学もしなかったという。
その後、父親が働く建築業の手元として働くようになったのだが、ああいう世界なので、キツい物言いをする職人も多く、自分の殻に閉じこもるようになってしまった。
おそらく、仕事も満足に出来ないのだという。

すでに三十路を過ぎているが、仕事も中途半端なせいで収入も少ない。
そういう男に嫁にくる女は、決して多くはないだろう。
今は、彼の両親も健在だから何とか暮らしているというが、順番からすれば、先に亡くなるのは親の方だ。
友人だって、家族があるはずだから、なかなか弟のことまで気が回らない。

イジメというのは、いじめられた方の将来まで変えてしまう。
自殺を回避できても、不幸な人生を強いることになる。

こういう風に書くと「イジメって残酷」と思うかもしれないが、知らず知らずのうちに加害者になってしまうこともある。
10代の子供だけではなく、20代、30代になっても同じことがある。

職場で、いつも笑われたり、馬鹿にされるような人、いませんか。
上司が、その立場を利用して(とは自覚がないかもしれないが)、部下や立場の低い人、時には取引先の担当者をからかったり、笑ったりする。
心の中では「かわいそう」と思いながらも、ほんの冗談で、軽い気持ちで一緒に笑ったこと、記憶にないですか?
笑う、というより、嗤う、哂うという字を当てた方がいいかも知れない。
そんな、些細なことでも、嗤われた方は、ひどく傷ついている。
そのうえ、暴力をふるわれたら、とんでもない恐怖に襲われるだろう。

世界は広いというけど、精神的な「ここが自分の居場所」と思える世界なんて、本当に狭い。
世界という言葉を「コミュニティ」とか「職場」あるいは「組織」と置き換えれば、分かりやすいだろうか。
自分の居る世界を否定されたり、排斥されたりしたら、人間は簡単に壊れてしまう。
「相談して」とか「その場所から逃げて」というアドバイスもあるけど、自発的に行動できる人は少ないんじゃないだろうか。

ならば、誰かが気付いてあげなければならない。
「大丈夫だよ」「気を遣わないで」と、差し伸ばした手を握らないかもしれないけど。
握った手を離されるかもしれない、という不安もあるから。
たとえが正しいかどうかわからないけど、虐待を受けた動物だって、心を開くまで時間がかかるでしょう。

誰かを確信犯的にいじめているヤツは、この文章を読んでも屁とも思わないだろう。
かといって、いじめの犠牲者が読んでくれても、何の救いにもならないだろう。
でも、その間に立つ人間が、注意深く行動すれば、多少の被害は食い止められるのではないだろうか。