ブログ版 空冷Zとの戦い

Kawasaki Z1Rに関するブログ?

ロボット④

そもそも、何でロボットじゃなければならないのか。
企画がそうだから、ではギャグ作品にしかなりません。
作品世界の人々はロボットに何をさせたいのか、目的が明確でなければなりません。
明確であるだけではダメでして、論理的合理的な意味や効果を持たせなければなりません。


例えば、ロボットが銃を撃つという動作。
カッコいいです。文句なしにカッコいいのですが、現実性がありません。
人間のように銃を構えて、トリガ(引き金)を引く。弾が切れたら、弾倉を交換する。
もちろん、ロボットのサイズに合わせた銃も造る。メカデザイン、演出的なカッコよさとしての効果はあるんでしょうが、カメラであるはずの目が「ピカッ」と光るのと同じくらいインチキくさいように思えます。

ロボット兵器が銃を撃つのは何故でしょうか?
これは、戦車や戦闘機と同じように、銃撃によって目標を破壊するためです。相手も眠っているわけではありませんから、相手のロボットや、対ロボット重火器で応戦してきます。
一歩間違えば、こちらが標的になってしまいます。

銃撃をかいくぐり、有効射程距離まで近づき、目標を補足。
「さあ、これでオシマイだ!」と、発射スイッチを押す。

が、銃から弾が出ない。
弾詰まり?何度もスイッチを押すが、弾は出ない。
すると『右腕の油圧が低下中。右ひとさし指の出力が20%にまで低下』『当機がレーダーにロックオンされました』と警告メッセージが…

指が一本動かなくなったおかげで、戦闘不能になるなんて冗談じゃありません。
ところが、パーツや機能が増えるほど、このようなトラブルが比例することは、我々現実世界でもたくさん起こっていることです。まして、精密機械のロボットが何かを殴ったりすれば、こんなトラブルだって十分に起こり得るはずです。

では、トリガーをやめて、USBケーブルなどで銃と接続すればいい。
ケーブルが切断されない限り、発砲の命令は銃に伝わる。心配なら複数の系統で接続すれば、ケーブル切断などのトラブルにも対処できる。

確かに、これなら操縦者が撃ちたい時にちゃんと弾が出そうです。
しかし、先述のようにロボットの腕は複雑な機構のカタマリです。いつでも、どこでも、どんな場合でも、狂いなく構えることが出来るでしょうか。
銃を撃つ前にちょっと転倒したおかげで、一部のパーツが曲がってしまい、きちんと銃を構えることが出来なくなった、なんてことにはならないでしょうか。
ワタクシが大好きなモータースポーツの世界でも、ちょっとしたパーツの断裂や変形が、致命的な動作不良の原因となります。

銃火器の汎用性を持たせるため、ロボットが手で銃を撃つ理由になっているようですが、やはり現実的ではありません。だったら、最初から「対空銃火器つき」「125mm滑空砲つき」のロボットを造り分ければいいのです。餅は餅屋というように、現実世界の兵器運用においても「汎用性」はある程度重視されておりますが、SFでいうところの汎用性(もはや万能性)はありません。
だから、現実の戦車や戦闘機も役割によって機能が特化されているのでしょう。そうでなければ、まず「万能戦車」や「万能戦闘機」が造られるはずです。


ただし、操縦者が銃火器まで操作できるかどうか疑問が残ります。
そもそも、ロボットをどのように操縦するのか。
ワタクシ自身、設定を考える上ではロボットの存在意義よりも頭を悩ませるものでした。
マジンガーZ以降、ロボットは両手で操縦桿を握り、ペダルを踏むことで操縦します(あるいは、そのように描写されています)。人間の複雑な動きを表現するには、操縦桿と脚ペダルだけでは、とうてい足りません。

おそらくロボットを動かすためには、古くは「ジャンボーグA」近年では「ファイブスター物語」に登場するモーター・ヘッドのように、頭から爪先までコントローラーで覆われ、人間の動きをトレース(模写)するようにして操作しなければならないでしょう。つまり、ロボットを自分の手足のように動かすことで、精一杯となるわけです。

仮に、ロボットの場合は搭載されたスーパーコンピューターが面倒くさいことを全部やってくれるのだとしましょう。モーター・ヘッドの場合、人間型コンピュータが機体のバランス補正や内臓された銃火器によってミサイルなどを迎撃してくれます。
それだったら、何もわざわざ誰かが乗ってロボットを動かす必要がなく、鉄人28号タイプのロボットに、スナック菓子やジュースを片手に命令していればいいわけです。

でも、この作品では、それが出来ない理由があります。
モーター・ヘッドを操縦するパイロットは、カムイ伝に登場するような超人的な身体能力を有する忍者のような戦闘人間で、彼らに対抗できるのは、同じ戦闘人間が操縦するモーター・ヘッドだけなのです。
作中では「モーター・ヘッドが出てくれば、ガラリと戦局は変わる」とまで言われており、1分間に数千発のレーザー砲を撃つ戦車でも、かすり傷ひとつ負わせられないのです。
というわけで、モーター・ヘッド同士の戦いは、原始的ではありますが、確実に相手をしとめられる「手持ちの武器」での戦いになるのです。


ガンダム以降、一世を風靡した作品として知られるエヴァンゲリオン
最近も映画化され、話題になっていますが、エヴァンゲリオンと呼ばれる「兵器」は、使徒というナゾの巨大怪獣(に見える)を撃退するために開発されました。エヴァを操縦できるのは子供だけで、操縦というより、エヴァと一心同体になって戦います。
使徒はバリアのようなものをもち、通常兵器による攻撃では壊滅できないため、エヴァによってバリアを破り、ナイフなどの武器で直接ダメージを与えなければなりません。


                        続く