ブログ版 空冷Zとの戦い

Kawasaki Z1Rに関するブログ?

ミスターバイク休刊!!

ミスターバイクの休刊。
「ミスターバイク 休刊」で検索したら、すでに沢山のブログが。
休刊を知ったのは、友人のメールから。
20年以上も前から愛読していたというから、筋金入りのファンだ。

このブログを読んで頂いている方はご存知の通り、署名入りの原稿を書いたのは「ミスターバイク」誌上が初めてである。オーストラリアへやってきて数か月が過ぎた頃、ご当地バイク事情のようなことを書いたのがきっかけだった。

ほどなくして、シドニーの住処を出て、旅に出たのが1997年5月。
13年前の今頃は、リゾート地ケアンズを擁するクイーンズランド州から、熱帯雨林と赤い砂漠の世界ノーザンテリトリーへ向かって走っていた。

バイクの旅は4か月ほどで終わったが、原稿のボリュームの関係上、連載は1年近く続いた。
これもまたご存知の通り、当時のツーレポを加筆修正したものが「空冷Zとの戦い」である。

なぜ、あの時、数あるオートバイ雑誌からミスターバイクを選んだのか。


空冷4発というハードでオーストラリアツーリングというソフト、コンテンツを作り上げるには、ややピンボケしているのは否めない。つまり、もっと別の媒体を選ぶべきだったのではないか、ということだ(掲載してもらえるかどうかは、別としても)。

あの頃のミスターバイクは、ファンのバッシングを覚悟して書くが、バイク雑誌としては「まったくの役立たず」だった。新車情報などは掲載していたが、それはバイク雑誌として位置づけるための、それこそ車検が通るための「最低限の装備」であって、バイク雑誌としての1円当たりの機能性は、どう考えても他誌に軍配があがる。

では、限られていたページ数で真の作り手「東京エディターズ」の方々は何をやっていたのかというと、エキパイの熱で焼き肉は出来るか、といったお笑いバラエティー番組のネタのような記事もあれば、柳原美佳氏のシリアス硬派路線のルポ、ほかのジャーナリストは絶対に書かない(書けない)佐藤信哉氏の本当に正直な専門用語がなくて分かりやすいインプレなどが掲載されていた。

見当はずれだったら申し訳ないが、バイクそのものに焦点を合わせていた雑誌が多い中、ミスターバイクはバイクに乗る人、すなわちライダーにフォーカスしていたのではないか。

もっといえば、バイクに乗ってなくたっていいじゃない、バイクというキーワードで集まって、楽しめればそれでいいじゃないか、とさえ言っているようだった。
作り手の楽しさが伝わる、そんな雑誌だった。
だから、そんな祭り騒ぎに「オレも参加したい」という気持ちになったんだろう。

後々、酒の席での冗談半分だったんだろうけど東京エディターズから「うちにきたらいいのに」とお誘い頂いた時も「リライトなしで掲載できた」という言葉も、本当に嬉しかった。

だが、この祭も長くは続かなかった。
ある日を境に…スタッフの異動により、ミスターバイクの誌面は驚くほど内容が変わった。
冷静にみると、路線はそれほど多くは変わらない。
看板記事である佐藤信哉氏のインプレやファイヤーロードは続いていたし、大きな変更はなかったはず。

古い話なので、細かい分析は出来ないだろうが、自分なりに感想を言うならば「誰かがミスターバイクのマネをして作ったミスターバイク」といったところだろうか。
やってることは同じなんだけど、面白さが伝わってこない。
新しい企画も波に乗らず、読者に救いを求めることもあった(と、受け止めていた)。
山口銀次郎氏がリードしていくかと思いきや、戦線離脱したし。
それを受け継いだり、受け止める人がいなくなったのだろう。

近藤編集局長がつくったミスターバイクは音楽でいえば「ロック」だった。
だれもやらなかった、あたらしい、たのしいもの、それがロック。
ロックがジャンルとして確立したら、それはすでにロックテイストが半減していることに気づかなければならない。

ロックは停滞してしまってはいけないのだ。
イノベーションを怠ってはいけないのだ。

休刊という充電期間を利用して、もう一度あの頃の輝きを取り戻してほしい。
機能や性能で勝とうと思わず、新車発表会なんかよその雑誌にまかせておけばいい。
どうせ新車なんて売れない時代だし、乗り換えるっていっても簡単にはいかない(そもそも、ディーラーで新車を買うような愛読者がいたのだろうか)。
ということは、インプレなんかも要らないし、スポンサーも二輪業界を離れて異業種から募ってもいいのかもしれない。

当事者じゃないから、勝手なことばかり書いているが、正直ほかの雑誌は毎月買う必要はなく(だってカタナ特集とか買っても意味ないし)、特定の車種に絞った内容だって、そうそう目新しいことは書いていない。

でも、ミスターバイクには毎月買って読む意味があった。
冬でもライダーをワクワクさせてくれるような、記事が沢山あった。

袋とじ…もとい福袋のような、これぞミスターバイクという内容での復活を切に願う。