いま、住んでいる場所から、空いていれば車で15分足らずの街で、多くの知人もいる。
甚大な被害があった仙台空港とは、緯度が違うだけなので、同じような強烈なパワーを持った津波が押し寄せたに違いない。
楽団四季のメンバーの実家も閖上にあり、彼の家も水が押し寄せていた。
家族は2階に逃げて無事だったというが、彼の家に置かせてもらっていたZのパーツはオシャカになってしまった。
が、2階に逃げて助かったのならば、まだマシな方だ。
海の近くには漁港と住宅街が広がっているのだが、足を踏み入れてみて愕然とした。
先日の石巻には、それでもまだ街の姿が残り、知らない人が来ても「ここには工場があったんだろうな」ということが分かる。
が、閖上は違っていた。
街が、まるごと消失していたのだ。
残っているのは、家の基礎部分だけ。
延々と、延々と無人の荒野が広がっている。
本当に、ここから立ち直ることが出来るのか。
こんな姿を見せられると、気持ちがくじけそうになる。
だが、前に進むしかないのだ、とも思う。
生き残った者の役目を果たそう。
アスファルトがめくれあがっている
360度、見渡す限り、家がない。
こんな風に歪んでいるのだ
こんな高い家でさえも、上まで波が押し寄せたに違いない。