ブログ版 空冷Zとの戦い

Kawasaki Z1Rに関するブログ?

アンパンマンのかまめしどんは塩釜訛りだ

関東をはじめ、他県の方からは「あまり訛っていませんね」と言われますが、姑息にも意識的に標準語を使っているからであります(笑)。

関西の方々が何処へ行っても関西弁のようにはいかないのが、東北の我々です。
と、書くとイロイロご指摘を受けそうですが、心情はご理解下さい。
もともと、関西はそちらが都であり、歴史の変遷において、首都機能が移っただけで、東北は「道の奥=みちのく」と揶揄されるよう、ずっと辺境だったわけで。
「オレはどこへ行ってもオレ」と、故郷の訛りで通す人間は、少ないのです。

といっても、仙台市内に住んでいると「訛り」は、ほとんどありません。
あちこちから引っ越してきた人たちが街を作っているからなのか、よその方々が喋っている会話に耳を傾けても、きれいな標準語が多いです。

が、仙台市内から30分ほど走って、塩釜に行くと様相が変わります。
だんだんと、標準語からかけ離れた言葉が聞けるはずです。

分かりやすいのが「か・き・く・け・こ」の「か行」のほとんどが「が・ぎ・ぐ・げ・ご」となります。
例をあげると・・・
「駅はどこですか?」が「えぎは、どごですか?」となります。
「わかりましたか?」が「わがりましたか?」となります。
テレビドラマなどで「東北出身の登場人物」を視聴者に印象付けるのに使われる手法ですね。
同じパターンで「た行」が「だ行」になることもあります。
「あいつ」は「あいづ」。
「あんた」は「あんだ」
しかしながら「あっち」が「あっぢ」になったり「大地」が「だいぢ」になることはありません。
バス停が「ばすでい」にもなりませんので、このあたりは慣れなのでしょうし、日本語ユーザーとして発音しづらい場合は、こちらでも訛らないようです。

次に「~へ」「~に」という助詞です。
「海へ行く」というのが、訛ると「海さ行く」に置き換わります。
しかし、ここには「行く」という先の「か行」変化の対象となる言葉が含まれるため・・・
「海さいぐ」となります。
探し物をしているときの「どこにやったの?」という言葉は「どごさやったの?」と変化します。

似たようなケースで「~を」が「~ば」に変化する用例があります。
「お父さんを連れていく」は「お父さんばつれでいぐ」
「魚をさばく」は「魚ばさばぐ」

実は、たったこれだけを変えることで、ネイティブ(笑)に大きく近づきます。
イントネーションを変える必要もありませんし。
ともすれば「標準語をしゃべろうとして、訛りが抜け切れない人」に聞こえるかもしれません。

最初にお断りしておきますが、テレビドラマなどで描かれる東北人のセリフにありがちな
「おら、昨日は、釣りに行っただ」
「おっかあ、ごはん、食っただか?」
というのは、誰も使いません。
登場人物を東北出身者として記号化するための安易な演出で、それは「おおきに」「~やねん」と言わせておけば、関西人である、という感覚に等しいです。

次は、語尾に着目してみましょう。
「スパナ、取ってくれ」は「スパナ、取ってけろ」になります。
「明日、5時に集まってくれ」は「明日、五時に集まってけろ」になります。
何かをお願いする時の「~くれ」が「~けろ」に変わる例ですね。
語尾の変化は他にもありまして
「あいつ、何処へ行ったんだ?」は「あいづ、どごさ、いったのや?」になります。

「や」は、他にも使い方がありまして「さ」の代わりとしても使われます。
「あのさぁ」は「あのやぁ」に。
「この絵を描いたのは、ボクさ」は「この絵ば描いだのは、オレや」に。

あと、有名どころとしては「~べ」「~だべ」ですね。
神奈川でも同じように使っているのか、SMAPの中居さんが、ときおりTVで使っていますね。

じゃあ、塩釜訛りを同じようにTVで見る機会はないのかというと、実は一個だけあります。
アンパンマン」に登場する「かまめしどん」というキャラが、ときどき塩釜弁を披露してくれます。
普段は「つくられた東北訛り」のセリフなのですが、ストーリーに直接からまない、細々としたセリフ(もしかしたら、アドリブなのかもしれません)には、塩釜訛りがガンガン登場します。
声優の山寺宏一さんが塩釜出身だからなのでしょうが。

ほか、これはワタクシの親類が書いているブログなのですが、塩釜の回想シーンで会話が再現されると、見事なまでに塩釜訛りが再現されています(ちょっとやり過ぎなんじゃないの?と思う部分もあるのですが)。
よろしければ、ご覧ください。

最後に、ワタクシも、訛りがたっぷりこもった会話を再現してみます。
「なんだやあ、あんだのZ、いぎなりかっこいぐなったんでねえが?どごさたのんだのっしゃ?」
「んだべえ、東京の有名な店あっぺ?あそごでやってけだんだ。お金も銀行がら借りだんだどわ」
「こごんどごなんて、オレだのでは思いつかねえおんなあ。どいなぐやっと、ほいなぐなんだべ?」
「ほいづは、ほれ。みせでけっから」
「ああ、ほいなぐやってんのがあ。うめごどやってんだなあ、さすがプロだなやあ」

標準語にすると・・・

「なんだ、あんたのZ、すごくかっこよくなったじゃない?どこに頼んだの?」
「そうだろ?東京の有名な店あるじゃない?あそこでやってくれたのさ。金も銀行から借りちゃったよ」
「この部分なんて、オレたちじゃ思いつかないもんな。どうやったら、そんなふうになるんだろ?」
「それは、ほら。見せてあげるよ」
「ああ、そういう風になってるのかあ。上手にやってるんだなあ、さすがプロだなあ」


昔、関西の上司を得意先に連れていって、小一時間ほど談笑して車に乗ったら
「Takeda、あかんわ。ワシ、あの人が言うてること、3割も分からんかったわ…」
と言われました。